アドラー心理学の視点から見る原因と目的:人間行動の深層を探る

怒る人・怒られる人

私はかつてパニック障害のために2年半ほど自宅療養をしていた事があるのですが、そこでアドラー心理学がベースとなったベストセラー本「嫌われる勇気」を読んで今までの自分の生き方、考え方を顧みることができました。

私がストレス低減のために最もお伝えしたいアドラー心理学について解説したいと思うのですが、量があまりにも多いので今回より何回かに分けてアドラー心理学について綴っていきたいと思います。

またこの「嫌われる勇気」は辛口で有名なホリエモンこと堀江貴文氏が絶賛するほどの自己啓発書となっております。この紙ベースの本が売れない時代でなぜ485万部もの大ヒット作品となったのでしょうか?是非ご覧ください。

こんな方にオススメ
  • 結論を決めつけてしまいがちで柔軟な考え方ができない。
  • 思い通りにならない事が多く、イライラしてしまう。
  • 過去を引きずる事が多く、悩みやストレスが多い。
  • アドラー心理学について知りたい。
  • 原因論・目的論が理解できない。

原因論・目的論とは? – アドラー心理学シリーズ1

このアドラー心理学はオーストリア出身の精神科医アルフレッド・アドラー氏によって創始され、別名、個人心理学や「勇気の心理学」ともいわれています。

今回はそのアドラー心理学から原因論と目的論について紹介します。

目的があるから人は行動する

まず人は過去に原因があるからではなく、目的があるから人は行動すると言われています。これだけではさすがに理解できないと思いますので、例を見ていきましょう。

職場で上司が部下を怒鳴り散らしている光景をよく目にする事があると思うのですが、これはなぜでしょうか?

何かミスしたんじゃないの?それか報告漏れとか、作業が遅いとか・・・

と、恐らくこういった事が頭に浮かぶと思います。しかし、アドラー心理学ではこのように原因があるからではなく、目的があるから上司が怒るのだと考えられています。つまり目的論では、上司が怒っている姿を見せつけることによって「部下達を逆らわせないようにするため」「上下関係をはっきりさせたい」という目的を果たすために部下を怒るのだと考えられています。

これらを原因論と目的論の各々の観点からわかりやすく表にすると、下記のようになります。

上司のとる行動
原因論部下がミスをした、作業が遅いなどの原因で怒る
目的論部下または見ている者が自分に逆らわせないように怒る

上記の例のような感じであると、「過去に原因があるからではなく、目的があるから人は行動する」というのも理解しやすいと思います。

はっきり言って部下がミスしたり、トラブルを起こしたとしても上司がそれが気にならなければそんなに怒る事もないでしょう。やはり自分の思い通りにいかなかった場合にその原因を利用して、「自分の思い通りにしたい」という目的のために怒るのだろうと考えられます。

怒る人

言い訳探しに原因論を利用してしまう

こういった事柄は私にも思い当たる事がたくさんあり、例えば

昔、この仕事でめっちゃお客さんに怒られた事あるよな~・・・だから自分には向いてないんだろう。今回はこの仕事を断ろう。

こういった事を過去、よく考えていた事を覚えています。皆さんも身に覚えあったりしないでしょうか?

ただこういった例の場合、

原因論では「自分に向いていない」から断る。

とされますが、

目的論では「怒られたくないから断る」という目的のために「自分に向いていない」と決めつける。

というふうに考えられます。

つまり、原因論では能力不足などできない理由があるふうに捉えられますが、目的論にするとただ傷つきたくないというシンプルな結論にたどりつく事が多々ある事が理解できると思います。

トラウマを否定せよ

仕事における能力不足の例以外にも

自分は小学生の頃いじめを受けていたせいで人と関わるのが嫌になってしまった。

過去にいじめや虐待を受けていた方は引きこもったり、人と関わるのを敬遠しがちになるようですが、これも「人と関わりたくない」という目的のために過去の出来事を利用しているだけだと考えられています。

ただこういう考え方をすると

それひどくない?そういう壮絶な過去を送った事もないくせに!

と反論される方がいると思います。たしかに誰もが悲惨な過去を送っているわけではないからこういう発想になるのも仕方ないのかもしれません。なんなら私も最初はこういう発想でしたから。

ただこういう場合でも、アドラー心理学では「トラウマを否定せよ」と提言されています。

どんなに悲惨な過去があろうとも、変われないでいるのは、自らが「変わらない」という決心をしているからと「嫌われる勇気」の著者は綴っており、さらには原因論の住人であり続ける限り、一歩も前に進めないだろう。と語られていますが、これを読んで私は目から鱗が落ちるような感覚を得ました。

なぜなら実際に昔暗い過去があった人でも、実際に現在は幸せな人生を歩んでいる人はたくさんおられるわけですからね。

目的論を採用してみては?

過去の失敗から学ぶことが多いのは言うまでもないので、過去の反省は必要でしょう。ただ、「できなかったらどうすればいいんだ!」などの思考により、原因論にたどり着き、できない原因を粗探ししている時間は非常にもったいないと考えられます。

悩みやストレスを抱えている人は原因論に偏っている傾向にあるとされており、目的論の考えを採用する事でその偏りを緩和させる事ができるので、一度皆さんも目的論優位の考えを持っていただく事をおすすめします。

「嫌われる勇気」を読んでからの所見

以上が原因論と目的論の解説となります。理解いただき、今後のマインドセットに活かせていただければ幸いです。

目的論はマインドフルネス瞑想にも!?

さて話は変わりますが、よくマインドフルネス瞑想で用いられる言葉で「今、この瞬間に・・・」というのがあるのですが、私は正直最初全く意味がわかりませんでした。(別記事でマインドフルネス瞑想について色々書かせていただいてるのに恥ずかしい話ですが・・・)

ただ、今回の目的論を知ると、今の状況、条件を全て受け入れ、将来または目先の目的のために「今を生きる」。こういうふうに考えてからはじめて、「今、この瞬間に・・・」という意味が理解できたように思います。

原因論で生きているままだと、過去の出来事で全てが決まってしまうので、とてもこういう発想にはたどりつかなかったと思います。

逃げるのは悪い事ではない

あと、これは本書ではあまり触れられなかった事ですが、これまでの解説をみると、断ったり、やめたりなど、まるで逃げるのが悪いみたいな感じに捉えられるかもしれませんが、全くそんな事はありません。

実際、能力不足だったり、ましてや精神疾患などの病気を抱えていたら物事に挑戦できるはずがありません。先述もしましたが、今の自分の置かれている状況や条件を受け入れた上で回避する分はむしろ英断だと私は考えています。

逃げるのもアリ!嫌われるのもアリ!そのくらいの考え方でいいのではないでしょうか?そう私は感じました。

是非、参考にしていただければ幸いです。

まとめ

さて最後にまとめです。

  • アドラー心理学のひとつとして「原因論と目的論」が紹介されている。
  • 人は過去に原因があるからではなく、目的があるから行動する。
  • 人は目的から目をそらすために過去の原因を言い訳に利用する事がある。
  • トラウマを否定し、目的論優位の生活になると悩みやストレスが低減される。

以上です。誰でもとても人には言えないような心の傷がいくつかあるかと思います。ただ、今後の人生にそれらは全く必要のない事を知り、心身ともに健康的な生活を送っていただければと思います。

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