質的栄養失調という言葉、聞いたことありますか?
質的栄養失調とは「糖質過多+タンパク質不足+脂肪酸不足+ビタミン不足+ミネラル不足」のこと。
「医師や薬に頼らない!すべての不調は自分で治せる」より 藤川徳美著
という風に定義されており、つまりはカロリー的な必要量は満たされているのにもかかわらず栄養不足が理由で不調が起きる、というわけですね。
現代人はこの質的栄養失調の方が多いとされているようですが、我々が普段よく口にしている日本食はヘルシーで健康的なイメージがあるのになぜでしょうか?
今回はその疑問を解説し、また質的栄養失調の対策法を紹介したいと思います。
※「医師や薬に頼らない!すべての不調は自分で治せる」(以下、本書)は当記事を作成する上で参考にした本です。是非ご覧ください!
こんな方にオススメ
- 三大栄養素であるタンパク質の必要性が知りたい。
- 栄養療法について関心がある。
- ストレス耐性の強い体づくりをしたい。
- よくテレビなどで聞くアミノ酸について知りたい。
タンパク質不足はなぜダメなのか?
日本食など普段の食事ではタンパク質が1日摂取量に届かないとされ、この栄養素が足りないと様々な不調原因になると本書に綴られております。それではその理由をみていきましょう。
体の20%はタンパク質でできている
まず人の体の2割はタンパク質でできており、筋肉をはじめ爪、皮膚、血液、髪、内臓、骨などはタンパク質で形成されております。
そして、これらは日々作り変えられているため常に新しく取り入れる必要があります。
つまり体づくりの要素であるタンパク質が足りないと体を作り変える事ができず、様々な不具合が起こりうる事が考えられます。具体的には免疫力の低下、メンタルの不調、消化不良などの機能低下が挙げられます。
様々な精神疾患にも影響
本書の著者である精神科医・藤川徳美氏は栄養療法の先駆者でもあり、質的栄養失調は特にタンパク質不足が原因に挙げられています。そして、先述しましたが、メンタルの不調により、うつ病や不安障害の悪化も示唆されております。
しかし、逆にタンパク質を心がけた食事を心がけた結果、うつやパニック障害の症状が楽になる方が多い事も事実として本書で挙げられております。
この栄養療法に関しては様々な意見がありますが、他の多くの精神科医の方からもタンパク質の必要性を説かれています。
アミノ酸が神経伝達物質の原料となる
またタンパク質は、アミノ酸が多数つながって構成されている高分子化合物であり、このアミノ酸には大きく分けて必須アミノ酸と非必須アミノ酸に分けられます。
20種類のアミノ酸
必須アミノ酸は体内では合成されず、必ず食物から補給しなければならない。
これに対し、
非必須アミノ酸は体内で合成できるものとなります。
そして、アミノ酸は全部で20種類あり、下記に表をまとめておきます。
必須アミノ酸 | フェニルアラニン、ロイシン、バリン、イソロイシン、スレオニン、ヒスチジン、トリプトファン、リジン、メチオニン |
非必須アミノ酸 | チロシン、システイン、アスパラギン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン酸、グルタミン、プロリン、グリシン、アラニン、アルギニン |
これは特に覚える必要はないと思いますが、食物から摂取する必要のある必須アミノ酸の覚え方として、各々の頭文字をとり、「風呂場椅子ひとり占め」と覚えるそうですので、予備知識として知っておいてもいいかと思います。
神経伝達物質の原料になる必須アミノ酸
そして上記表の必須アミノ酸から三大神経伝達物質であるセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンの原料になるものがありますので下記に紹介いたします。
神経伝達物質 | 原料となる必須アミノ酸 | 神経伝達物質の役割 |
---|---|---|
セロトニン | トリプトファン | 感情や精神面、睡眠など人間の大切な機能に深く関係する。別名、幸せホルモン。 |
ノルアドレナリン | フェニルアラニン | 激しい感情や強い肉体作業などで人体がストレスを感じたときに分泌される。 |
ドーパミン | フェニルアラニン チロシン(非必須) | 生きる意欲を作るホルモンともいわれており、幸せな気持ちにさせて意欲に繋げる。 |
以上のようにアミノ酸を多く摂る事によって精神面を強化させる事が可能になるわけですね。
これら以外にもストレス低減の効果のあるGABAの原料となる非必須アミノ酸のグルタミン酸など、様々な効果が期待できると考えられます。
また逆にいえば、必須アミノ酸が不足してしまうと、活力や回復力の低下など多くの不具合が生じてしまうと本書に綴られています。
※セロトニン、ノルアドレナリンについての記事は是非下記を参照ください。
必要となるタンパク質の摂取量とプロテインについて
それでは1日あたりどのくらいのタンパク質を摂ればいいのでしょうか?
食事だけでは意外に・・・
厚生労働省食事摂取基準(2015年版)によると、タンパク質の摂取目標値は体重1kgあたり1gとされ、例えば体重50kgの方であれば摂取目標値は50gとなるわけですね。
タンパク質50gとなると食材でいうと、卵なら7.5個、豚肉なら245g、豆腐だと1000gとなります。(およその計算値による)
これを見ると
えー、そんなに・・・結構多いな・・・
人によると思いますが、こういった方もおられるのではないでしょうか?確かに食事だけでは意識していないと必要なタンパク質を摂るのは意外に難しいものだと考えます。
糖質、脂質の過剰摂取に注意
また現代人はコンビニやファストフードの影響もあってか、糖質、脂質の過剰摂取が問題にされています。これにより免疫力、筋力の低下も懸念されており、タンパク質の摂取もおろそかになりがちではないかと考えられます。
タンパク質の摂取は特にアミノ酸スコアを気にする必要があり、例えば9種類の必須アミノ酸のひとつでも少ないとそのスコアは低くなります。必須アミノ酸の全てがバランスよく含まれている食品はアミノ酸スコアが高くなるわけですね。
このアミノ酸スコアは白米なら61で小麦粉は41となっており、それに対し卵や肉などの動物性たんぱく質のほとんどは100になります。これをふまえると、例えば朝食メニューでパンだけなどのように炭水化物だけに偏った食事ではアミノ酸スコアは41なので充分なタンパク質量を摂取できない事になります。
プロテインで不足分を補う
ただ、だからといって肉や魚を積極的に食べようとしても、毎日のこととなるとなかなか十分なタンパク質量を摂取するのは結構難儀な事になると思います。さらに動物性たんぱく質の多い食品は値段が高いのも問題です。
そこでその問題を解消するために、コスパのいいプロテインを摂取する事をおすすめします。
プロテイン?私、筋トレしてないけど?それに逆に高くない?
こういった声は当然ある事かと思います。たしかに国産のプロテインは高いうえに商品によってはタンパク質の含有量もさほど高くありません。
あくまでもコスパのいいプロテインを利用する必要があります。
即効性はないが・・・
以上のように万能にみえるプロテインなのですが、薬ではありませんので、もちろん即効性はありません。
ただ、自分の数か月後、数年後の姿を見据えた時、やはりストレス耐性が強い身体を獲得している方がいいのは間違いありません。
そのためにも当記事で紹介した栄養療法を参考にしていただき、そして是非、別記事でも紹介している運動療法や認知行動療法なども活用いただき、皆さんが健康的な日々を過ごされる事を切に願っております。
まとめ
最後にまとめです。
- 現代人は質的栄養失調になりがちで、その原因はタンパク質不足と糖質、脂質の摂り過ぎにあるとされている。
- タンパク質は日々の体づくりにかなり影響があるため、不足すると体をつくり変える事ができず様々な不調が生まれる。
- タンパク質は精神疾患の方にも積極的に摂る事を推奨されている。
- タンパク質はアミノ酸の結合体であり、アミノ酸が神経伝達物質の原料となっている。
- タンパク質は日々の食事だけでは1日の摂取目標値に届きにくい。
- ホエイプロテインを利用して不足分をカバーする事を提言。
以上です。当記事を参考にしていただき、心身ともにストレスに強い体づくりに励んでいただければ幸いです。
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