前回、プロテインの必要性について解説いたしました。
今回はプロテインの摂取のタイミング、またトレーニー(筋トレユーザー、ランナーなど)のタンパク質の摂取量などを解説したいと思います。
当記事の概要
- トレーニングをする際の適切なタンパク質摂取量を解説。
- 効果的に筋肉を発達させたり、運動能力を上げる方法を解説。
- タンパク質の摂り過ぎによる健康上の影響を解説。
トレーニーのホエイプロテインの摂取量は?摂取タイミングは?
前回、タンパク質の1日の摂取目標値は体重1kgあたりタンパク質1g必要だと解説しましたが、これはあくまでも運動習慣がない方のもので、ウォーキングやジョギングなど軽い運動をする方から激しい運動をされる方まではまた摂取量が変わってきます。
トレーニーのホエイプロテインの摂取目標値は?
これはなぜかといいますと、運動をする事によって筋肉が分解されることを抑制する事と、筋肉の合成に必要になるためです。
それではどのくらいのタンパク質が必要になるのでしょうか?
日本におけるタンパク質の摂取目標値は、厚生労働省の食品栄養摂取基準において、体重1kgあたり1.4g~2.0g必要とされています。
つまり健康目的で軽い運動をされる方は摂取目標値・1.4g/kg、筋肉の発達を目的とした筋トレユーザーやアスリートなどは2.0g/kg必要という事だと考えられます。
トレーニーの効果的な摂取タイミングは?
そして、トレーニーの効果的な摂取タイミングですが、以前まではホエイプロテインのゴールデンタイムはトレーニング後30分以内とされていましたが、この常識は少し違う事がわかってきました。
これは先述しましたが、筋肉の分解抑制のためにタンパク質が必要になるので、トレーニング後のプロテイン摂取では遅いという理由だと考えられます。
以上から考えると効果的なホエイプロテインの摂取タイミングはトレーニング前となります。また下図からホエイプロテインは、摂取後に急速に体内に吸収されて血中アミノ酸濃度を一気に高めます。そして30分ほどで血中アミノ酸濃度はピークになりますので、トレーニングをする30分前にホエイプロテインを摂取するのが理想的となります。
タンパク質の摂り過ぎはダメ?
以上の事から必要なタンパク質の摂取目標値は理解できたと思います。さて、それではタンパク質を必要以上に摂り過ぎてしまうとどうなるのでしょうか?
トレーニーに関しては?
国際スポーツ栄養学会によると、
1日に体重1kgあたり4.4gのタンパク質を摂取して8週間に渡ってトレーニングしたグループと、1日に体重1kgあたり1.8gのタンパク質を摂取して8週間に渡ってトレーニングしたグループを比較してみると、体重や除脂肪体重、体脂肪率などの結果に差はなかった。
Stimulatory effect of glutamine on glycogen accumulation in human skeletal muscle.
Am J Physiol.より
このように報告されております。つまり、トレーニーの観点からは必要以上にタンパク質を摂取してもあまり意味がないと考えられます。
健康上の影響は?
それでは健康上ではどうでしょうか?
まずは同じく国際スポーツ栄養学会の研究結果から
体重1kgあたり4.4gのタンパク質を摂取した研究では、被験者にまったく健康上の問題は出なかった。
Stimulatory effect of glutamine on glycogen accumulation in human skeletal muscle.
Am J Physiol.より
と報告されております。
タンパク質を摂りすぎるとたしかに肝臓や腎臓に負担がかかり、タンパク質を分解しきれなくなった窒素はアンモニア(体には有毒とされている)へと変わり内臓疲労や腸内環境の乱れを引き起こす可能性がある事は否定できません。
ただ体重1kgあたり4.4gのタンパク質の摂取量というと、仮に体重50kgの方を例にすると、タンパク質摂取量は220gとなります。これは食材でいうと、鶏ささみ肉なら950g分、魚肉ソーセージなら1.9kg分、卵なら30個分、ホエイプロテインなら11杯分となり、とてつもない量となります。本当に食事を意識してさらに大食いの方でなければおそらくクリアできないのではないかと思います・・・
まあだからといってむやみにタンパク質を摂り過ぎても意味がない事はわかっているので、やはりここは1kgあたり2gのタンパク質の摂取量を目標にしていただく事が最適だと思います。
まとめ
それではまとめです。
- トレーニーの理想的なタンパク質の摂取量は体重1kgあたり2gである。
- トレーニングをする30分前にホエイプロテインを摂るのがベスト。
- タンパク質は体重1kgあたり4.4gまでの摂取量なら健康上の影響がある事は報告されていないが、摂り過ぎても意味がない。
以上です。タンパク質、ホエイプロテインに関しては非常に多くの間違った情報が溢れていますので、注意が必要です。必ずエビデンスを理解した上でタンパク質の摂取を心がけていただければ幸いです。
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