前回はデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)の解説とDMNは脳エネルギーの「意外な」浪費家である説明をしました。
今回はその対策である瞑想方法を紹介したいと思います。
ただ、呼吸法については「マインドフルネスとは?」のページにて紹介しておりますので、今回は普段の生活の上でも行えて、かつ手軽なものを紹介いたします。
こんな方にオススメ
- 常に何か考え事をしている。
- 集中力が続かない。
- 普段の生活の中で手軽にできる瞑想方法が知りたい。
歩く瞑想、走る瞑想について
マインドフルネス瞑想には大きく分けて、サマタ瞑想とヴィパッサナー瞑想の2種類あります。まずはこれについて解説します。
純粋に事実だけに気付く「ヴィパッサナー瞑想」
まず、サマタ瞑想とは集中の瞑想とも言われており、つまり何か対象となる1点に意識を集中する瞑想のことです。対象となるものは瞑想によって異なりますが、呼吸や心臓の動き、音などがあり、この瞑想に関してはいわゆる”座禅”によるものをイメージしていただければOKだと思います。
それに対し、ヴィパッサナー瞑想は、
今、この瞬間に自分の心と体が何を経験しているかに気づき、ありのままに観察していくのです。一切の思考や判断を差し挟まずに、見たものを「見た」、聞いたものを「聞いた」、感じたものを「感じた」と一つ一つ内語で言葉確認(ラベリング)しながら、純粋に事実だけに気づいていく……。
ブッダの瞑想法: ヴィパッサナー瞑想の理論と実践より
このように解説されています。つまり座禅のように1点集中するのではなく、日常生活の上で経験するものをただ純粋に感じとっていくものと捉えていいでしょう。
自分の内側に意識を向ける
でも普段から集中してばかりじゃ疲れない?
このような考えになる方がいらっしゃると思います。いや、ごもっともです。
たしかに仕事や家事など作業に集中していたら疲れるのでは?と思うのは当然の事です。
しかし、集中するといってもヴィパッサナー瞑想においては自分の外側に対象を置くのではなく、意識をもっていくのはあくまでも自分の「内側」です。
引用文にも書かれているとおり、見たものを「見た」、感じた事を「感じた」などはまさに自分の内側に対象を置いてますよね。だから自分の内側に起こっている事を素直に実況中継するだけでいいので、ストレスはあまりかかりません。
歩行瞑想はやりやすい!?
そして、私が実践している日常のヴィパッサナー瞑想の中で一番頻度が高いものが「歩行瞑想」です。
私は朝にウォーキングをするのを日課にしている事もあるので、雨天以外は毎回これを行っています。またそれ以外にも出勤時などの移動の間にもできるので非常にオススメです。
さて、やり方ですが、まずは体の一部(特に足)に意識を向ける事からはじめるのがいいと思います。
例えば、足に意識を向け
「右足(のかかとが地面についた)、左足(のかかとが地面に着いた)」。または地面を蹴る瞬間でもいいと思います。「右足(で地面を蹴る)、左足(で地面を蹴る)」。または地面に片足だけを意識し、「(右足または左足で)地面に着く、地面を蹴る」といった感じでもいいと思います。
早歩きだったり、ジョギングだったり少しペースが速くなったとしても一緒です。
「右、左、 右、左、 右、左、 右、左、 右、左、 ・・・」
このように足に意識を向けている間は、ひたすら足が地面に触れる瞬間を味わいましょう。
さらに私は負荷をかけるために、ウォーキングをする際はドローイン(腹をへこませる)しながら歩くので、お腹にもたまに意識をおいて、「今、お腹がへこんでいる」と素直に事実だけを気付いていきます。
他にも腕に意識をおき、風を裂いている感覚を味わったり、背中に意識をおいて、背筋がまっすぐになっている事実に気付いたりするのもいいでしょう。
とにかく自分が意識しやすい方法をとり、「今まさに歩いているこの瞬間」を最大限に味わう事によって、妄想・不安・怒りなどの脳への負担を軽減する事ができ、心身ともにポジティブな効果が期待できます。
雑念がでる場合は・・・
ただどれだけ、歩行瞑想に集中していても、おそらく雑念はでてくると思います。
これは歩行瞑想に限らず、どんな瞑想方法でも同じです。仕事の事、過去の事、将来の不安、いろいろな妄想が浮かぶと思います。
でもそれはハッキリ言って当然の事なので、別に落ち込む必要もなければ、自分を責める必要もありません。
なぜなら、雑念が浮かんだ事も「気付く」練習材料だからです。雑念がでてそのまま放置しておけば、当然脳疲労は蓄積していきますが、その雑念に気付き、「今この瞬間に」意識を戻す事ができれば問題ありません。
たしかに一度雑念が出ると、意識を現実に戻すのに時間がかかるかもしれません。それでも「気付き」さえできれば、その時間を短縮できることは経験上、実証済みです!
皆さんも是非お試しください!
他のオススメ瞑想
歩行瞑想以外のオススメする瞑想を紹介します。
食事瞑想
まずは食事瞑想です。私は高校生の時、お寺に1泊2日で修行に行った事があるのですが、その時に一番印象に残ったのが食事作法でした。
食材の一つ一つに敬意を表し、そして感謝を表すために口に食べ物を入れた後、箸を置き、深く味わい、一噛み、一嚙みを集中します。もちろんこの際、音を立ててはいけません。私語などもってのほかです。そして正座で参加者全員が食べ終わるまでその場で待機です。
高校生だった私にとっては正直、苦痛でしかありませんでしたが、年をとった今ならこの「マインドフルにそして集中して食事をとる」行動は理解できます。このお寺での修行のように、精進料理を”正座”で”音を立てずに”とまではいかなくとも、「一嚙み一噛みを集中して食べる」事は普段の生活でも可能ですよね。
是非、皆さんも試してみてください。
お風呂での瞑想
そして最後にオススメするのがお風呂での瞑想です。私は以前、よくお風呂であれこれ考え事をする事が多く、うつ病を患っていた時はよく風呂場でネガティブな事を妄想し、パニックに陥っていた事を覚えています。
ただ、このお風呂での瞑想を試みてからは、マインドフルに入浴時間を過ごせるようになったと思います。
湯船に浸かっている間は、サマタ瞑想、つまり一点集中の瞑想を試みます。この際はお湯に触れている各部位の感覚でもいいですし、呼吸法を使った瞑想でもいいと思います。
そして頭を洗う時は
前髪をこする、頭頂部をこする、サイドをこする、・・・
このようにパーツ毎に実況中継しながら頭を洗います。そして体を洗う時も同じく
「肩、三角筋、僧帽筋、腰、右ふともも、左のすね、・・・」といった感じですね。
細かいな~。どっかで集中が途切れそう・・・
解説をきいて、もしかするとこのような気持ちになるかもしれません。
でも大丈夫です。最初はたしかに違和感だらけかもしれませんが、余計な事は考えずに「今、この瞬間」に意識をおきたい気持ちが強ければ、すぐに慣れます!私が実際そうでしたからね。
そして集中が途切れたとしても、繰り返しになりますが、その集中が途切れた事に対し、「気付き」、その事について「評価せず」、作業に戻るだけでOKです。
是非、この瞑想を参考にマインドフルなお風呂時間を過ごしていただければ幸いです。
まとめ
それでは最後にまとめです。
- マインドフルネス瞑想はサマタ瞑想とヴィパッサナー瞑想がある。
- サマタ瞑想は「一点集中」に対し、ヴィパッサナー瞑想は普段感じたものを純粋に「気付き」を感じる。
- おすすめのヴィパッサナー瞑想として歩行瞑想、食事瞑想、お風呂での瞑想を挙げている。
- いずれの瞑想も体の一部に意識を向け、感じた事を実況中継するだけ。
以上です。
参考文献
「ブッダの瞑想法: ヴィパッサナー瞑想の理論と実践」は当記事を作成する上で参考にした文献です。是非こちらもご覧ください!
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