マインドフルネスで認知のゆがみを解消し、不安をコントロールする方法

「~しなければならない」「~ができなかったので、今回も無理だ」など、心が疲弊していればしているほど、冷静さを欠いてしまい、正しい判断ができないもの。

今回はそういったマイナスの考え方をいかにして防ぐか、またそういった考え方に陥った時にどのような対策をとればいいのかを解説します。

こんな方にオススメ
  • なんでも白黒ハッキリさせないと気がすまない。
  • よくない事が起こるとすぐマイナス思考に陥る。
  • 論理的に考える前に感情的になってしまう事が多い。
  • 自分に自信がない。

認知のゆがみについて

つらい気分に悩まされているときは、物事がありのままに見えなくなってしまいますが、このことを認知行動療法では「認知のゆがみ」といいます。

うつ病を自分のせいに

ここで1つ例を挙げると、私もかつてはそうでしたが、うつ病にかかってしまった人などは特にうつ病にかかった事を自分のせいにしてしまいがちですが、これは典型的な認知のゆがみであるでしょう。

なぜならば、そもそもうつ病の原因ははっきり解明されておりませんし、もしストレスが深く関わっていたとすれば、それは環境や時期・タイミングが大きな影響を与えていたと考えた方が賢明です。

しかし、それでも原因を個人化してしまうと、

俺なんか何やってもダメなんだ!

こういったネガティブ思考に陥ってしまうのは想像がつくところではないでしょうか。

人前にでるのが怖い

また別の例で、過度の不安に苛まれる病気である不安障害の方によくみられるもので、人前にでて失敗をして恥をかくのを極端に嫌い、ついには人前に出る事そのものを恐怖に感じてしまう事があります。

これも認知のゆがみの1つであり、冷静さを失ってしまった結果である事は見てとれます。

このように、上記2つの例、「うつ病を自分のせいに」する事も「人前にでれなくなる」事も認知のゆがみからくるものだと考えられます。

こういった認知のゆがみは10種類存在するとされ、さらに心が疲弊しているときは複数の認知のゆがみを抱えてしまう可能性があります。

認知のゆがみの種類について

まずはその認知のゆがみの10種類を紹介します。

白黒思考

1.白黒思考

完璧主義の方に多いのですが、物事をなんでも「0」か「1」かで考えてしまうものです。

例を挙げると、

まだこの仕事をするための資料が全部集まってないじゃん!こんな状態でやってもムダ!

このように完璧な状況をつくれるまでは、何が何でも動かない。といったもので、最悪その状況を言い訳にしていつまでも作業をしない事もあります。

一般化のしすぎ

2.一般化のしすぎ

よくない事が1つでもあると、それに囚われてしまい、また失敗する未来しか描くことができない。

これは上記の「人前にでれなくなる」例が当てはまります。

他に例を挙げると、

この前、同じ業務内容で失敗したばかりだから、今回もダメだ・・・

心のフィルター

3.心のフィルター

全体を見ることなく、たったひとつの嫌なことにこだわることによって、現実を実際より暗く見てしまう事。

例を挙げると、

自分は理解力がないし、ブスだからできる仕事なんてない

このように悪くみえる物事が原因で人生全てが”ハードモード”に感じてしまいます。

マイナス化思考

4.マイナス化思考

心のフィルターに似てますが、心のフィルターは良い部分を遮断するが、マイナス化思考は遮断する代わりに良いことを良いと考えられなくしたり、良いことを悪いことに置き換えてしまう。

例を挙げると、

資料を作成するだけですごい時間がかかった。こんな自分はこの仕事に向いていない・・・辞めたい・・・

このように資料を作成し終えたという良い結果は無視し、「時間がかかった」という仕事効率の悪さだけが残ってしまいます。

こうみると、なんかもったいないですね・・・

結論の飛躍

5.結論の飛躍

根拠もないのに、勝手な思い込みから悲観的な結論に結びついてしまうものです。ちょっとした噂だったり、会話での違和感から悪い結論を出してしまいます。

いわゆる”一人相撲“に近いものでしょうか。自らマイナスの方へ進んでしまうのが想像できると思います。例を挙げると、

彼からの返事が返ってこない・・・別れたいと思っているんだ!

恋愛ではよくある悩みであると考えられますが、メッセージを返すのもタイミングがありますし、忙しさから既読だけで返しそびれたという事も考えられます。

いずれにしても自分の早合点である事は間違いないでしょう。

拡大解釈・過小評価

6.拡大解釈・過小評価

自分の失敗など都合の悪いことは大きく捉える一方、よくできている事や長所は”できて当たり前”と評価してしまうものです。

自分に自信が持てず、落ち込む事が多くなりがちです。

例を挙げると、

今日のテスト、簡単な問題しかできなかった・・・こんな努力しているのになんで私はこんなにバカなんだろう・・・

テストやスポーツの試合など、努力していればしているほど思ったような結果が出ないと、極度に落ち込んでしまいがちです。

感情的決めつけ

7.感情的決めつけ

論理的な考えでなく、自分の感情でものごとを判断してしまうものです。不安がつのるほど、失敗するイメージが湧いてしまいます。

例を挙げると、

今日のプレゼン前にこんな緊張ばかりしてたら、失敗するじゃないか!もう仕事に行きたくない・・・

会社での大事なプレゼン前は誰でも緊張するのですが、そういった考えや緊張を和らげるため資料のチェックをしたりする前に「失敗するだろう」という謎の決めつけが先に湧いてきます。

すべき思考

8.すべき思考

「~すべき」「~しなければならない」というルールを頑なに守ってしまい、自分にも他人にも厳しくなり、最終的にはマイナスの思考が生まれてしまいます。

かなり真面目な人や完璧主義な人に多くみられると考えられます。

例を挙げると、

仕事では納期は守って当然だし、質のいいものを提供しなければならないのに、なんで他の奴らはそれができないんだ!

もちろん納期を守ったり、質のいいものを提供した方が良いに違いないのですが、頑なに「すべき思考」に囚われると自分だけでなく他人にも怒り・失望などネガティブな感情が湧いてしまいます。

レッテル貼り

9.レッテル貼り

主観に基づいて人・ものごとに対して、一方的に評価してしまい、それが事実であるかのように思い込むものです。

その下した評価も覆る事がないので、良い面が見えなくなる事が多くなります。

例を挙げると、

あいつはやる気がないから他の人に仕事をまわす事にしよう。あいつに頼むだけムダだ。

一度、極端なレッテルを貼ると評価は低いままなので、なかなかイメージを上げる事ができません。

個人化

10.個人化

よくない事が起こると、自分と全く関係のないものでも、「自分の責任では?」という罪悪感に苛まれるものです。

上記の 「うつ病を自分のせいに」 もこれに当てはまります。

他に例を挙げると、

他部署からクレームがきたみたい・・・もしかしたらこの前の私の作成したデータに不備があったのかも!

実際はどうかわかりませんが、まだ何も判断できない状態であるにも関わらす、自分を責めてしまいます。

認知のゆがみを正すには?

以上、10種類が認知のゆがみのタイプになります。それではこれらのゆがみを正す方法を解説したいと思います。

認知のゆがみに気付く

まずは認知のゆがみに囚われていた事に「気付く」というものです。

その方法といえば、当ブログでは頻繁に出る言葉となりますが、やはりマインドフルネスが大事だと考えます。

今、すべき思考に囚われていた・・・今度は一般化をしすぎていた。

こういった感じですね。ただ、上の例はわかりやすいように認知のゆがみのタイプまで気付くように表現しましたが、特に認知のゆがみのタイプまで特定する必要はないと考えます。

なぜならタイプまで特定しようとすると、なかなか一瞬では特定できないため、頭がぐちゃぐちゃになってしまう恐れがあるためです。

だから実際は

今、ネガティブな感情(または、認知のゆがみ)に囚われていた・・・。

このくらいでいいと思います。なによりまずは「気付く」事が大事です。

必ずしも~でないのでは?

そして余裕ができてきたら、次に「必ずしも~でないのでは?」と考えるようにします。

例えば、

さっきはこの仕事に向いてないと思ったけど、必ずしも向いてないとは限らないのでは?

上記はマイナス化思考に陥った際に、”認知のゆがみ”である事に気付きそして一呼吸置いた後、実際に「必ずしも~でないのでは?」と言語化したものです。

このようにすると、冷静さを少しは取り戻し、認知のゆがみに囚われていた心も徐々に解放されてくると考えられます。

もちろん他の認知のゆがみタイプにも適応できますので是非試してみてください。

認知行動療法で仕上げ

そしてそれでも心が晴れない場合は認知行動療法で考え方を変えるように努めてみましょう。

認知行動療法の詳しい説明は省きますが、考え方を変えるためにその時に感じた事・考えた事を書き留めそしてその考え方に対してどれだけの反論があるかを綴っていき、最終的に新しい考え方に変える事ができる方法です。

その中でどのような認知のゆがみタイプがあるかを書いてみましょう。

すると、認知行動療法をいくつか実践していくうちに、自分にどのタイプの認知のゆがみがあるのか傾向を知る事ができます。ちなみに私はこれまでの傾向から”一般化のしすぎ”と”マイナス化思考”が多い事がわかりました。

この傾向を知る事によって認知のゆがみに気付きやすくなるので、日々のマインドフルネスもやりやすくなります。そして認知のゆがみであると気づくという事は同時に「大した問題ではない」という事にも気付けるわけですね。

認知行動療法はこういった認知のゆがみを正していく方法でもあるので、多少面倒に感じるかもしれませんが、今後の人生の安定に繋がると考えれば安いものだと思います。是非、皆さんも実践してみてください!

まとめ

最後にまとめです。

  • 気分が落ち込んでいる時は物事をありのままに見えなくなる現象を「認知のゆがみ」という。
  • 認知のゆがみは10種類のタイプがあり、心が疲弊していると複数のものを抱えてしまう事もある。
  • これらの認知のゆがみを正すには、「認知のゆがみに気付く」「必ずしも~でないのでは?と考える」「認知行動療法」の3点が重要だと主張する。

以上です。今回はかなり長い文章になってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございます。

認知のゆがみはネガティブな感情に陥りやすい考えになりますので、是非参考いただき、穏やかな日常を送っていただければ幸いです。

参考文献

心がスッと軽くなる 認知行動療法ノート ―自分でできる27のプチレッスン―」は当記事を作成する上で参考にした文献です。是非こちらもご覧ください!

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